統計検定2級に合格しました【文系でも受かる】

2020-02-13

こんにちは、りょう(@august_green_tw)です。

ちょっと前の話ですが、2018年11月の統計検定を受験し、合格しました。
受験したのは2級で、レベルとしては「大学1~2年で習う一般教養程度」とのことです。

決して難関資格試験とかそういうレベル感のものではありませんが、社会人になってしばらくこうした資格試験はご無沙汰だったためか、素直に「勉強したなぁ!」というやりがい・達成感を感じられる程よいストレスでした。

統計検定の基本情報

まず、あまり有名な検定ではないと思います。私も受験を決める1週間前までは知りませんでした。

2011年に創設された歴史浅い認定資格で、国家資格ではありません。就職に役に立つのか、というとメジャーな資格ではないため、「この印籠が目に入らぬか!」的な位置づけとしては全く使えないことでしょう。

ただ、知名度が低い分、逆に面接官も「統計検定2級?よくわからないけど統計結構出来そうじゃん?」と勝手に思ってくれる可能性もあります。

受験者数の推移

f:id:virtualbox:20190131082902p:plain

出典:統計検定:Japan Statistical Society Certificate

当時の最新でざっと5,000人程度の受験者がいるようで、図の通り6月と11月に毎年試験が実施されています。が、パソコンスクール等で受験が出来るCBT方式(就活のSPI試験イメージ)も別で用意されているため、全体の総数はこれより多いようですが、ウン十万人と受験者がいる英検や宅建などとは比べ物にならないほど少ないマイナーな資格試験です。

受験者の年齢構成比(2級の場合)

f:id:virtualbox:20190131083414p:plain

出典:統計検定:Japan Statistical Society Certificate

階級(統計用語:ここでは年齢をいくつで区切るか)が3歳ずつで細かく区切られているのは嬉しいですね。
21〜23歳が一番多く、その前後の階級値が2番・3番目に大きいです。受験者層の多くがおそらく大学生であり、もしかしたら単位の取得条件なんかにもなっているのかもしれません。

ちなみに、もしもこの階級が5歳、または10歳単位(20〜29歳など)の場合は「大学生が単位取得のため…」といった仮説立てが難しくなります。統計を学ぶとこういう観点に目が行くようになります。

試験の難易度

f:id:virtualbox:20190131083427p:plain

出典:統計検定:Japan Statistical Society Certificate

僕が受験した2級は4割程度の合格率のようです。試験を受けた肌感としては順当のような気がします。
あくまでも統計の世界の入り口にたった人が、一つのベンチマークとして設定する目標というくらいの位置づけがちょうどいいものだと思います。

統計検定を受けようと思ったきっかけ

日頃努力していないせいか、ある時急に向上心みたいなものが溢れることがあります。そういう一時の盛り上がりみたいなものは持続しないものだと十分に理解しているつもりなので、気持ちのぶつけ所として極力読み切れる・挫折しない簡単な・その時興味があるキャッチーな本を買ったりしています。

その時はたまたま夏にふらりと立ち寄った本屋でビジネス書系の本棚で以下の本が目に止まりました。 

文系でも仕事に使える統計学はじめの一歩

文系でも仕事に使える統計学はじめの一歩

タイトルに偽りは無く、本当に読みやすい本でした。具体的な統計スキルはほぼ身につきませんでしたが、「統計ってこんなもんだよね」というリテラシーの醸成と、あとなんか知らねーけど統計って出来たらビジネスマンとしてちょっとカッコよくねのようなワクワクは十分に感じられました。

ここで気分を持ち上げられたことからちょっと勉強してみようかな?となるわけですが、闇雲に勉強するのもモチベーションが維持できないし、検定試験とかなんか無いかな、と思ってGoogleで「統計 検定」と調べたのが統計検定との出会いです。

本業の方も落ち着いている時期で、自己研鑽に当てる心の余裕がありました。
とりあえず苦手な英語を克服することと、あとなんか専門分野みたいなものを持ちたいなと思った時に統計はちょうど良かったんですよね。

統計と英語ができる、ってなんとなく文系サラリーマンとしての型が見えたと言うか、「目指してみてもいいかも」というキャッチーな目標としては十分に感じられたため、統計検定の受験を決めました。

どういう勉強をしたか

少し統計検定についてネットで調べましたが、いくつかの体験記などを読んで以下の2つの書籍を購入しました。

過去問集 

日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2015〜2017年]

日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2015〜2017年]

 テキスト

実践のための基礎統計学 (KS理工学専門書)

実践のための基礎統計学 (KS理工学専門書)

過去問は言うまでも無いですよね。これがないと試験勉強としては話になりません。
2冊目の基礎本は、正直これでなくても良いと思いますが、比較対象が無かったため最初に読んだ諸先輩方のブログで紹介されていたものを決め打ちで購入しました。

動画学習から始める

本が届いて、最初にテキストを開きましたが、ぶっちゃけ全然理解できませんでした(笑)。というかうわー理解するの面倒くせー…って思っちゃったんですね。久しぶりの勉強すぎて、まさに学習用テキストライクな、ビジネス書みたいに読みやすい文体でないことがちょっと辛かったです。

それで最近流行りの動画学習とかで逃げ場を探したところ、YouTubeで以下の大学での講義動画を見つけました。

www.youtube.com

明らかに学生・受講者向けの内容でしたが、第1回を見ると教授が統計学の有用性に加えて「しっかり板書して書いて覚える」という主旨のことを説明していました。

そもそも板書という行為からも離れて久しいですし、ちょっと肩慣らしにちょうどいいかなと思って動画がワンクール分全部アップロードされていることを確認し、全て視聴することにしました。

その際の勉強法としては、専用のCampusノートを1冊とボールペンを用意して、動画を見ながらの板書をひたすら続けるというものです。
この方法を試してみてわかったこととしては、明らかに動画(テキスト)をただ眺めている時よりも習得出来ている実感がわくことと、勉強量が見える化でき、モチベーションを維持しやすいことがメリットとしてありました。

デメリットは、1本あたりが大学の授業形式ですので90分の動画となっており、わからないところを一時停止や巻き戻したりしながら見ていると1回に付き120分程度、全11回なので動画学習だけで22時間は時間を要してしまい、効率が悪いと思います。また、集中力が切れている時はとりあえずの板書に注力してしまい、書いた記憶はないけどノートは進んでいる、みたいな状況がありました(集中力が切れていても、とりあえず机に向かえるという意味ではいいのかも)

とはいえ、久しぶりの学習で教科書を読んでいるだけではすぐに眠くなってしまう自分にはそれくらい地道な方が合っていたようで、この学習法は継続することができました。

大体この動画視聴·板書での学習で45日程度の時間が経過しました。間が空く時は1週間くらい何もせず、ノッている時は2時間/日ほどで全11回をこなすことが出来ました。

※2020年5月25日追記
統計検定に受かってから1年半がたった今、Udemyという動画学習サイトを活用して改めて統計や統計を活用したプログラミングの勉強をしていますが、統計検定2級の勉強では今ならUdemyがおすすめです。YouTubeの無料動画も悪くは有りませんが、忙しい社会人においては正に時は金なり。効率的に知識を習得できるUdemyを今なら推薦します。

プログラミングと統計をかけ合わせた動画ですが、Rではじめる統計基礎講座をここでは推したいと思います。
統計検定2級の最終設問あたりでは、まさにプログラミング言語「R」で導出された結果(アルファベットと数字・記号の文字列)から意味を読み取り答える問題が数問出ます(重回帰分析あたりと絡めて出たりします)。
実際にものを見たことがあるのと、無機質な過去問で脳にムチを打ちこむのでは効率が全く違ってきます。

テキストを一読する

動画学習を終え、過去問に早くも取り掛かりたかったところですが、半分くらいは完全に"はじめましての状態“であったため、最低限教科書を一読した状態でないと「何がわからなくて解けなかったのか」という効率の良い復習が出来ない、と考え、教科書を一読することにしました。

動画学習の効果もあって、最初に買ってすぐに閉じてしまったテキストの目次を眺めると、3分の2くらいは「あ~はいはいこれね。あ〜これは知ってるぞ」という状態になりました。この時点ではまだ知識を使いこなせるという状態ではなく、知っている·聞いたことがあるという程度です。

ただ、やはり教科書を眺めるだけでスルスル頭に入ってくるほど出来の良い方ではなかったため、よくわからず読み返しては先に進めず、という状況を何度も繰り返してしまいました。とにかく一読だけしよう!最悪太字だけ読む!それ以外は眺める。というレベルの割り切りでなんとか一読を終えました。

追加で、よくある「漫画でわかる〜〜」シリーズもこのタイミングで探して一読しました。こっちをまずは読んでからテキストに入ったほうが更に効率は良かったと思います。

マンガでわかる統計学入門

マンガでわかる統計学入門

過去問を解く

やっとのことで過去問に取り掛かりました。この時点で、11月の頭の土日になっており、試験まであと3週間という状況でした。

はじめは本に掲載されている一番新しい2017年の11月分を解きました。

結果、ヤマ感も含めて50%弱くらいの点数だったと思います。

「1回目にしてはまずまずいい感じ?」という気持ちと、「全く解けそうもない問題が半分を占めている。わからない言葉も多いし…」という状況から、多少の焦りを感じました。

見たことがない問題や言葉は、都度一読したテキストを確認しました。7割くらいはその本にちゃんと掲載されていて、適当に読み飛ばしていたため見たことがないという状況に陥っていました。

残りはネットで調べたり、YouTubeでの解説動画を漁りました。

t検定カイ二乗検定などは解説動画も多数あってわかりやすく、問題を解く⇒解説を読む(理解度30%)⇒動画を3本見る(理解度80%)⇒教科書で確認(理解度100%)といった流れで間違った問題を一つずつ潰していきました。

コレログラムなどは検索してもほとんどヒットせず、やっとのことで解説しているサイトを見つけて理解度40%くらいまで持っていきましたが、不十分なまま本番を迎えることになりました。この辺の問題はほとんど雰囲気で回答していましたが、過去の傾向から6割程度の得点で合格することがわかっていたので出題頻度も高くないため残りの4割として腹をくくっていました。

試験前日に受けた最後の過去問(2016年5月分かな?)では、正答率でギリギリの62%の状況でした。

試験当日

僕は首都圏の会場で、中央大学 後楽園キャンパスで受験しました。

パット見社会人が多い印象で、長机に座って試験を受けるあの感覚は緊張感·刺激が合って良いですね。

今回の試験では、序盤こそ勉強してきたものが同じ傾向で出てると感じたものの、途中で歪度・尖度という過去6回分では一度も目にしたことがない問題が出てきてしまい、そこの3問は完全に感だよりとなりました。

その他にもいくつか勉強したことがある問題でも「うわーこれやったけど、なんだったっけなー」と理解が不十分なものもあって、最終的に解き終わった際に自分なりに自信があるものを○、全然わからないものを×の2択に分けたところ、○のみで53%の正答率でした。×の中には「きっとこうかな?でもちょっと自信ないかも…」というものも3問程度控えていましたが、60%以上の正答率に届くためには○に加えて3問が必要だったため、全く余裕がない状況でした。

結果

試験から3日後に解答が公表され、自己採点では62%。ちょっと自信がないため×とした問題がなんとか3問正解で、ギリギリのラインでした。

全くわからなかった問題群からは、「ヤマ感で2~3問でも当たってくれ!」という願いも虚しく見事に全滅でした(笑)マークシートなのによく出来てますね…

ここで若干焦らされる自体が発生しました。過去問集には「6割で合格が目安」とありましたが、公式HPには以下の記述があることに気が付きました。

f:id:virtualbox:20190131093442p:plain

出典:統計検定:Japan Statistical Society Certificate

過去問集などによる事前情報では、集合形式ではないCBT方式での合格は7割が目安で集合形式は6割とありましたが、集合形式も今回から7割に上がってしまったのか…とガッカリしてしまいました。

「難易度によっては調整」の文言もありましたが、なにせ自分はぴったり6割のライン上に乗っているため、そこまで下がることはきっとないだろう…と。

結果、試験から3週間がたった12月16日の発表で、自分の受験票を握りしめながら確認すると、自分の番号があることを確認できました。合格でした。

所感

合格する前は、「頼むから箸でも棒でも引っかかってほしい!」という受かりたい気持ちが全面に出ていましたが、いざ合格してみると、統計検定2級を持っています、と言っても呼吸をするようにt検定やら回帰分析ができるわけでもなく、もっと習得に向けた研鑽をしなければ。という思いもあり、嬉しいけど、これでいいのかなぁ〜という気持ちでおります。

せっかくここまで時間を費やして取り組んできた統計という分野を、もっともっと自分の手足として活用できるように、少しづつ仕事に取り入れてみたり(幸い自分次第でそういう機会は作れる)、チャレンジを続けていこうと思います。

ちなみに合格後に購入した書籍は以下のとおりです。

恋する統計学[回帰分析入門(多変量解析1)] (多変量解析 1)

恋する統計学[回帰分析入門(多変量解析1)] (多変量解析 1)

多変量解析という言葉を仕事中に聞いたことが統計に興味をもったそもそものきっかけでしたが、2級の勉強範囲ではほとんど多変量解析には触れられませんでしたので購入しました。広く浅くではなく深く勉強するための一歩目として。

恋する統計学[因子分析入門(多変量解析2)] (多変量解析 2)

恋する統計学[因子分析入門(多変量解析2)] (多変量解析 2)

一冊目が続き物であったため購入しました。まだ読破には至っていません。

統計学の図鑑 (まなびのずかん)

統計学の図鑑 (まなびのずかん)

ちょっと大きいサイズなので本屋で見つけて買うのを躊躇しましたが、買いました。

統計手法のイメージを掴む、という観点ではかなり詳しく解説されている上、結構網羅性があると思われる内容で買ってよかったなぁと思います。保存版の感覚ですね。

望みは薄いかもしれませんが、子どもが勝手に手にとって統計に興味を持ってくれる機会になるかもしれませんし(笑)そう思えばいい買い物でした。

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

これは試験前に買った本ですが、どちらかと言うと気分転換用です。試験に活かされる知識習得にはほぼ役に立ちませんでした笑 

僕と同じような境遇の人がどれくらいいるかわかりませんが、うちに秘めた向上心の発散に、統計という分野は割と程よく、また統計スキル・リテラシーはそれなりに汎用的でビジネスに活かされやすいのが昨今のトレンドだと思うので、2020年に新しいことにチャレンジしてみたい方、探している方はいかがでしょうか。