賃貸併用住宅は稼げるのか?【マイホームではなく賃貸併用住宅を選んだ理由】

賃貸併用住宅は稼げるのか?【実例で説明】

こんにちは、りょう(@august_green_tw)です。
今回から数回に渡って、私が実践している賃貸併用住宅について紹介していきたいと思います。

個人的には、賃貸併用住宅については手堅く資産形成が可能で比較的ハードルが低いものだと考えていますが、不動産投資の手法としては決してポピュラーな方法ではありません。
そのためネット上にも情報量が少なく、ハウスメーカーのポジショントーク的なサイトや煽り・誤解も多いために今回情報発信するに至りました。

賃貸併用住宅は稼げる、は本当なのか?

結論から言うと稼げると思います。思いますというのは、条件等で千差万別だからですが、個人的には不動産投資の中では比較的手堅い投資であると考えています。

ただし、本格的なアパート経営ほどは稼げる規模が小さいです。

賃貸併用住宅の収益構造

賃貸併用住宅の収益構造

賃貸併用住宅は、ざっくりイメージは戸数の少ないアパートを建築し、そこに自分も住む、というものです。

”住宅”というだけあって、不動産投資用の融資ではなく、ローンは年利1%未満の超低金利住宅ローンを組むことが可能です。その代わり、ほとんどの金融機関では住宅ローンを組む条件として、”床面積の50%以上をオーナーの居宅”とすること、というものが設定されているため、結果的に賃貸用の戸数が少なくなり利回りが低下することになります。

収益の具体例

イメージが掴めるようにざっとシミュレーションしてみます。

具体例

居宅:3~4LDK 90m2(都心ファミリー世帯用戸建てで一般的な広さ)
賃貸:1K 28m2×3戸
合計床面積:174m2(居宅割合51.7%)

建物の構造は木造で、2階建て、駅近なら3階建てのといった具合です。

 【建物】初期費用の概算

木造の場合、建築費が15~20万円/m2と言われておりますが、ここでは水道やガス、地盤改良などの諸経費を含め25万円/m2と見ておきます。

建築費 174m2 * 25/m2 = 4,350万円

【土地】初期費用の概算

土地から取得する場合は、土地代が上乗せされることになります。
東京+3県の賃貸需要が強いエリアなら100万円/坪以上は覚悟しなければなりません。東京23区なら200万円/坪以上は確実です。

今回は埼玉・千葉・神奈川で東京主要駅まで30分程度の駅から徒歩10分程度、100万円/坪と想定します。建ぺい率・容積率で今回は60%・200%と想定し、3階建ての建築に必要な土地の広さを60m2/60%=100m2(約33坪)と求めました。

土地代 33坪 * 100万円/坪 = 3,300万円

初期費用合計

  • 建物  4,350万円
  • 土地  3,300万円
  • 諸経費  550万円
  • 合計  8,200万円

次に収入側ですが、今回は新築時の一番良い時のケースで算定します。

徒歩10分圏内、東京勤めの需要で28m2なので、それなりの賃貸需要が見込めます。今回は7.3万円/部屋と想定しておきます。

7.3万円 * 3戸 = 21.9万円/月(年間262.8万円)

住宅ローンの返済は、ネット銀行で金利0.5%35年ボーナス払い無し、頭金200万円で8,000万円の借り入れと設定すると毎月の返済額は20.8万円ほどとなります。

月々の収支は、家賃21.9万円 – 返済20.8万円 = 1.1万円の黒字、となりました。

月1.1万円の黒字をどう考えるか

この結果を見て、8,000万円も借金してたった1万円の黒字!?という意見の人もいるかもしれませんが、メリットはまだ他にもあります。

住宅ローン減税

賃貸併用住宅でも住宅ローン減税が受けられます。制度の詳細は省きますが、最初の10年間、ローン残高の1%(40万円が上限)が還付されます。賃貸併用住宅の場合、ローン残高全額ではなく、居宅割合で按分した残高になるため注意が必要です。

今回のケースでは居宅割合が51.7%のため、8,000万円*51.7%は4,000万円以上となることから、上限の40万円の還付が受けられます

Point①

毎月1.1万円の黒字に加えて、40万円の還付が受けられる

そもそも自分の家賃がかかっていない

さらに、ローン返済と家賃収入が相殺されるため、そもそも自分自身の家賃代がかからずに90m2の新築物件に居住することができています。90m2ファミリー世帯用の賃貸だと、立地・築年によりますが家賃15万円程度はかかる水準と想定されます。

Point②

毎月1.1万円の黒字に加えて、40万円の還付が受けられ、毎月15万円の家賃が不要

収支まとめ

  • 家賃収入  13.2万円(1.1万円 * 12ヶ月)
  • ローン減税 40万円
  • 家賃節約  180万円(15万円 * 12ヶ月)
  • 合計    233.2万円

ちなみに利回りの考え方を適用すると、今回の物件は居宅部分も賃貸に15万円で貸し出したとすれば、年間の家賃収入は約443万円となり利回りは5.4%となります。

中古の都内区分マンション投資などと概ね同水準になり、資産性を考えればなかなか悪くない数値ではないでしょうか。

賃貸併用住宅のデメリット

賃貸併用住宅のデメリットについてもいくつか言及しておきます。

1.マイホーム一戸建てではない。あくまでもアパート

規模・コストから、木造をチョイスすることになると思いますが、どうしても木造は音漏れがしやすいです。壁や床を叩く音(階段をのぼる音など)はどうしても伝わりやすいです。話し声などは遮音シートなど部材で一定程度工夫することができ、私の家の場合はそこまで気になりません。

2.利回りが低い

坪100万円で1K7.3万円/月が見込める市場なら、新築アパートなら利回り6~7%は狙えます。賃貸併用住宅は居宅割合50%が足かせとなり、利回りは低下しがちになります。

意外とデメリットじゃない点

1.入居付に悪影響はなさそう

大家と一緒に住むのに抵抗がある人からは敬遠される、という意見がネット上には多くありましたが、私の場合は募集開始から反応はかなりあって、竣工後数日で満室となりました。抵抗がある人はそう多くないのかもしれません。

2.流動性は決して低くない?

まだ売却に至った経験はありませんが、ネット等の情報によれば賃貸併用住宅の市場価値は通常のアパートなどに劣るというわけでもなさそうです。

賃貸併用住宅@健美家

健美家の物件一覧キャプチャですが、そもそも競合が多くないため埋もれにくいようで、出回るとすぐに成約となることも多いそうです。規模としてもプロの投資家・業者に荒らされにくく、サラリーマンなどの個人投資家や実需向かいには比較的取り掛かりやすい物件に写るようです。

3.空室が怖い→怖くない規模で始める

例えば、全部屋空室になってしまった場合、ローンは全額持ち出しとなります。毎月21万円のローン返済は確かに痛いですよね…
ですが、それって通常かかる家賃・ローンをただ支払っているだけですよね?そもそも自分が半分住んでいるので、通常のアパート経営と異なり最低でも入居率50%以上は確実に確保できるのです。私が賃貸併用住宅が一番手堅いと感じている理由はこの点です。

ただし、この理屈が通用するのは毎月の住宅ローン返済額が自分の許容範囲内にある場合です。家賃21万円は東京世田谷区あたりで70m2マンションを借りた際と同水準です。自分の収入から身の丈に合わない、と考えるようであれば、同じ賃貸併用住宅でももう少し小規模で始めると良いでしょう。
参考に、TOTAL借入額が5,500万円なら毎月の返済は15万円程度(同条件)となります。

今回はここまで。次回以降、賃貸併用住宅ならでは苦労、税金や不動産会社等の業者の見つけ方・付き合い方について紹介していきます